舞-HiME

あー、やっちゃった……リセットオチだ。


途中からやり放題になってきて、これじゃ元通りネタでもしょうがないかなと感じ始めてたけど、やっぱりオカシイっていうか、色々あって元通りって、心情的に、もう元には戻れないって段階に行ってると思うんだけど「堪忍な」の一言じゃ済まないと思うけど、そういう事に、ってその辺がキャラクターに血肉が通ってない、物語の駒的に感じてしまう要因だったかなと。


リセットならそれこそ時間を戻してやり直すくらいじゃないと自分の中では成立しなかったかな、船で学園に来るあたりまで、そして姫星なんて見えてないみたいな。


この作品には人間ドラマが無いみたいなことを書いたけど、そうじゃないっていうか、なにを持って人間ドラマというかってトコもあるけど、自己中心的な人間達が集まった状態で起きる出来事、それを人間ドラマというかはともかく、自己中心的な人間による人間ドラマということかと。


そういう意味では、今回最終回に当たって、ようやく舞衣が命の涙に対してどういう気持ちなのとようやくまともに他人に興味を持ったというか。
それに対して命は答えることもなく、自分の弱さや苦しみを伝えることもなく剣で答えることになってしまうけど。


なんだか最後は時間がなかったということでヨクワカンナイ感じになったかな。どこで戦ってたのかわかんないし、姫星が具現化したっぽいけど、ヨクワカンナイし、復活したHiME能力で集まるヒメ達は宇宙空間?っぽかったりして、どこよ?つーかイデオンの最終回かよッ!みたいな変な絵だったり、結局駆けつけてなにをしたのかわかんないままだったり。


舞衣と命の衝突の解決法はやっぱり博愛固めに終わったし、命と兄上の亀裂はいわゆるBGMごまかしっていうか歌によって救われるみたいな、(つわけじゃないけど)


そう言えば神崎も元通りだし、やっぱり終わり方としてはあまりに茶番すぎる、戦場で全員すべて武器を捨て、なーんちゃってもう止めて仲良くしましょって感じだし、死んだと思った死体はむっくり起き上がるみたいだし、なんだかなあと。


とか特に強く感じてしまったのは、やっぱりファンタジックチルドレンのせいかな。ファンチルは綺麗に収まりすぎた、すべて納得する形で終わった作品と一緒だったのが不幸だったかな。あれが同時じゃなかったら、こんな偽善的な終わり方でも観客が望んでることだからこれはこれでと、納得できたかもしれないし。


また同時にあれほど不幸な結末に向かいそうなファンチルが、それぞれの幸せの中に収まったからこそ、逆に同時期にヌルイ形で始まった舞-HiMEという物語が最後には荒涼とした場所に到達する、という事を期待しちゃったからかもしれない。


その辺の自己中心的なキャラクターという違和感は、それこそが現代的人物像であってそれで物語を作ったらどうなるかという試みであったのかもしれないし、そうであれば物語としての面白味に欠けたのは作り手のせいじゃなく、結局自分のことばっかしか考えていない人間は面白くないよなってことそのままだし、今の生活はそんな面白くないって言う現実を写しているというか、現実にはそんなに生活もドライじゃないよねっていうか。


別の原因としては、2クールの物語に12人登場させちゃった段階で、そんなスペースで一人一人の内面まで伝わるほど丁寧に描写する時間がなかったってのが理由かもしれない。


ファンチルはなんだかんだ言って、トーマとヘルガ、そしてティナの弟のデュマの物語と焦点を合わせていたから成功したのかなとか。ソランもセスもトーマのための人物だし。


HiMEという物語上のシステムを上手く使って観客を引き連れるトリックは優れていたけれど、かといってじゃあそのトリックに取り込まれた人物は魅力的だったかというと、単にトリック説明のための駒でしかなかったんじゃないかと、その辺が残念だった。


シリーズ構成の人には次回作、その構成能力を落すことなく人間味溢れる物語、というより、人間味という人間ドラマ自体を、人の気持ちのすれ違いや反発自体を物語のトリックとして取り込んで生きた人の物語っていうのを見てみたいなと思った。