ゼーガペイン

リョーコさんの目覚めの話。


素晴しく良かったです。
話の作りとしては、現実に気が付いて目覚めるという話で、マトリックスとか、色々この頃流行の手垢の付き始めた展開なんだけど、事実の受け入れ方とか気づき方の表現にこの作品らしい独創性があって新鮮に楽しめた。


冒頭はソゴル君の夢、リョーコが事実に気が付くことを恐れていてその反映が夢として現れる。
リョーコの一番の関心事の映画を利用した表現が良かった。消えた先輩の残した真実の映像がスクリーンに映されていて、真実に気づいたリョーコは、真実の映されたスクリーンを切り開き真実の世界に踏み出そうとする、ソゴルはスクリーンの裏側(真実側)からこっちに来るなと叫ぶ。


ソゴル君の恐れや、現実に進行していることを端的な表した表現で上手いなあと思った。


後は凡人の誘導教育とかが描写されて、リョーコの目覚めの強さを強調しつつ、リョーコの気づきを描いていく。特段目覚めるきっかけとなる事件とかを用意せず、淡々と見津から目覚めたという流れはよかったかも。特に弟とゲームを手伝ったときに、ソゴル君の編み出した戦法を実演したりして、遠回しだけれどはっきりと彼女が事実を読み取ったところを表現するところなんかも上手い。


こういう描写があると、物語(フィクション)というの中の更なる仮想の世界(メタフィクション)を感じさせる上での説得力となって、夢物語でも面白いなあと満足感を感じられて楽しい。


ぶっちゃけ、面白さとしてはこの辺が頂点なんじゃないのかな?とか思っちゃったりして「そうして真実に目覚めた二人の活躍はこれから始まるのだった、第一部完」でそのまま星になった方が幸せなんじゃないかと思っちゃったり。
いや実際この先、ソゴル君とリョーコがパートナーとなって戦いに参加することになるんだろうけど、勝利しても悲惨な感じになりそうだし、じゃなきゃ、こうして人は自分の身体を取り戻したのだった、みたいになってもそれはそれで、上手く行きすぎて安っぽい気もするし、ここでジャンプ打ち切り的結末で投げ出してもそれはそれでそれぞれが想像の上でハッピーエンドとして完結した方がとか思っちゃったりしつつ、物語の行く末を楽しみにしたいと思いました。


あ、あと、トップの最終回は相対性理論を知ってるともっと面白く、エヴァはオカルトを知ってるともっと面白く鑑賞できるように、ゼーガペインは量子テレポートの理論は知っていた方がもっと面白いかなと思いました。

http://www.nanoelectronics.jp/kaitai/qteleportation/index.htm
「絡み合い(エンタングルメント)」と呼ばれる重要な特徴がある。これは二つの粒子を一度の操作で同時に発生させると、この双子の粒子は不思議な運命を共有するということである。この二つの粒子は途中で観測を受けるなど邪魔が入らない限り、いつまでも一つ波動関数で表すことができる。そこで二つのうち一方の粒子を観測して、粒子の状態が決定したとしよう。すると、二つの粒子は一つの波動関数で表されるのだから、一方の粒子の状態が決定してしまえば、瞬時にして他方の粒子の状態も決定するはずである。


と、この話で展開される幻体の扱い、どうしてコピーが出来ないのかとか説得力を感じられると思う。
乱暴に言えば、幻体を舞浜サーバーで観測しているときには舞浜サーバーで確認され、現実世界で観測すれば現実世界で確認される、セレブラントというのは現実とデーターの両方に呼応する存在を持てる人格データー、とでも言うところなのかなあと解釈してみたり。(もちろん本物の量子テレポートの理論はそういう事と違う)