涼宮ハルヒの憂鬱
最終回。
ざんざじらしてきた憂鬱のお話し。
これが憂鬱の内容か、感動した、全米が泣いたよ。
うっそー。
いや、散々じらされて期待値が上がりすぎちゃったせいなのか、見てみれば、このようなことをわざわざ隠してきたのか、これを最後に持ってくるために時間シャッフルという変速技をカマしたのか、というマイナスイメージしか湧いてこなかった。
内容のほうはというと、ハルヒの憂鬱が高まって、閉鎖空間へ自分とキョンだけを取込んで、無意識下の願望は世界をやり直そうとする、という事だナ。
憂鬱が高まったのは、ハルヒがキョンを好きになって、キョンのほうはというとみくるの方に気があって、ハルヒは意識せずともみくるに嫉妬心があった、からこそ、自分とキョンだけを連れて世界をやり直そうとしたんだろうな。
一瞬、閉鎖空間へ行っちゃって大丈夫かなと思ったけど、よく考えればちゃんと戻ってきたからそれ以降の話もあるわけで、と危機感が薄れるけど、ここから戻るためにはハルヒに元の世界も良いものだと思い直してもらわなきゃならないわけで、どうやって思い直させるのかなと、そこに興味の焦点が集まったけど、大人みくるさんの言う白雪姫ってことは、キスしろって事だなあと、判っちゃいるけど、本当に戻って来させるための手段は、ハルヒへの説得とかロジックでなくて、キス一つで変えることになるとは、安直でひっくり返った。
これじゃなんらかのカタルシスも、なにもなくて、良い話見たなという気持ちすら湧かないかな。キョンから見たら、こうして擬似的に失われたことで、今までの世界の価値を認識した事になるけれど、それはキョンの心の中で起こった気づきであって、それが他者(ハルヒや観客)に伝わる物でもないし、ハルヒの方はというと、チュウ一つで目覚めちゃったわけで、なにもオチていないというか、解決していないように思えるんだけど。
するってえとナニかな、夢の中でもハルヒは好きな男にキスされて、この世界も良い物だ、と認識し直したと……。
あとあと、時間シャッフルはどうかと思う。憂鬱が、ハルヒがキョンを意識して、キスする夢で世界を思い直したとすれば、観客として、それ以降の捉え方を、ハルヒはキョンに好意があると了解して眺めたかったと思うので、自分には時間シャッフルは不必要だったと感じた。なまじ下手に隠したことで、その事に感心が湧きすぎて物語の見方が自然に受け入れられなかった、というか、変なバイアスが掛かって見方が斜めになった気がする。
ほんとうかどうかわかんないけど、ナニやら、DVDだと時間順に発売するとかなんとか。
それが本当だったら、ちょっとどうかと思う。時間シャッフルという演出をするのならそれなりきに、時間を入れ替えることで登場人物と観客の間に知っていることの情報差があるわけで、それも踏まえた演出が為されているはずで、それを時間通りに並べ替えると、時間シャッフルをした事による演出が意味不明になるわけで、時間シャッフルしたものは時間シャッフルした順番で見なければ成立しない、仮に成立するのであれば、それは時間シャッフルさせた事への演出の配慮がなされていないと言うことになるし、とかとか。
そのへんの時間シャッフルの演出の妙というのは、フォローウィングという映画を見るとよく分る。
| フォロウィング | |
 | クリストファー・ノーラン ジェレミー・セオボルド ルーシー・ラッセル おすすめ平均   お金をかけずに面白い映画を撮るための手本のような映画。 きっと数学が得意に違いない尾けた男に尾けられて罠にはまった男の話しビルの英語／コッブの英語気軽に味わえる佳作Amazonで詳しく見る by G-Tools |
作家志望の青年が小説のモデル探しのために町で気に掛かった人物を尾行するという事をしていたけれど、ある男を尾行し始めたことで奇妙な運命に……。
という話なんだけど、物語の方も、尾行するかのように時に時間が前後したり、行為と動機が逆に提示されたり、と時間シャッフルが使われる。特にDVDはタイムロジカルシークエンス再生という、事象通りの再生が出来たり、監督のオーディオコメンタリーが時間シャッフルに付いて語られていてりして、すごく面白い。時間のある人はツタヤに行って借りて見たらいいと思う、それも本編再生よりタイムロジカルシークエンス再生から見てから本編を見てみれば、アニメ版ハルヒと小説版ハルヒみたいな楽しみかたが出来る。ちゃんと考えられていれば時間シャッフルした事で物語がより面白くなるということが理解出来るだろう。
正直アニメ版ハルヒの時間シャッフルが面白くなる効果を発揮していたとは思えなかった。
とはいえ、自分にとって駄目だったのかというと全然そうでもなくて、ハルヒ学校の制服を作ろうかとハアハアしている状態だったりして、とりあえずアニオタの憂鬱を晴らすためにアニメの国から来た天使にしか見えないデスヨ！
