アニメはアニメ

この事書くのはどうも、自分が好きな物を貶されたという悔し紛れっぽいんだけど、そう言うのとは別の話。
例えば、こういう言葉があったとする。
「昨日はテレビを見ていたら深夜にアニメをやってたので見てみた。その後で映画をやってたので見てみた。やっぱり映画の方が面白い。アニメはアニメだなと思った、アニメはしょせんは子供の娯楽だなと思った。」
みたいな話。特別に極端な話じゃないと思う、全体的にそういう認識を持っている人は持っているし、かなり多いんじゃないかと思う。
でも、こういうの突っ込みどころ満載な、どこから突っ込んだらいいか、的はずれな誤った認識なんだよね。
まず、当たり前の話だけど、メディアにはメディアそれぞれの表現理論があって、鑑賞方法はそれぞれに違う。映画の見方や、テレビドラマの鑑賞方法は心得てるとして、映画の見方でアニメを見てやっぱりアニメはアニメでダメだ、と言ってるわけで、もうその段階で、わかってない見識の浅い人間なので対話するに値しないんだけどね。他人だったら、はいはいそうですねとニヤニヤして無視しておけばいい。
もちろんこれは、映画とアニメだけじゃない。コミック、小説、演劇それぞれのメディアにはそれ相当の鑑賞技法がある、それを理解しないでどっちが上とか口にしている段階で、見識が低い。更に言うなら、小説一つでも、ラノベと一般小説と純文学は技法が違うし、アニメだって、一般作品とオタク向けのマニア作品と、子供向けのキッズアニメとは別で、それぞれの批評論は分かれている、それを理解していないと、オタアニメの価値観でキッズアニメを見たら、つまらない、くだらないという結論が出てしまう。
そう言ったことさえ理解せず、自分の価値観だけで、作品に対して面白いとか面白くないとか、ジャンルに対して、こっちが上でそっちが下とかおおよそ意味のない見なし方をして悦に入っているような人間は放っておくに越したことはない。くだらないと見下したいわけだし、あれこれ教えても変わる訳じゃないし。
そして当然の事ながら、映画にも優れた作品もあれば、クソみたいな作品もあるし、アニメにも同様に、良作もあれば駄作もある。
たまたま並んだ二つの作品だけを見て、すべてのジャンルを理解したような気になってレッテルを貼るような物。
なんていうか、元々日本食の好きな人間が、たまたまとなり合わせた、ソバ屋とラーメン屋に入って、ああそばは美味しいなあ、日本食は最高、中華料理は日本料理に劣るとか言っているような物で話にならない。
ってなんだか、個人的な体験の不快感の発散みたいになっちゃうけど、そういう浅い見方で物事を決めつける人間もいるし、注意しなきゃねえとか思ったから書いてみたりするわけなんだけど。
と、で、ちょっと思ったのがアニメの鑑賞方みたいな事になにが特殊だろう?とか。
動画としてすごいというのとかあるね、RODなんか、ときどき、劇的に見せるために、無数の紙吹雪をコツコツと書いている時がある、その苦労を理解出来る鑑賞者には、そのクリエイター魂に打たれて感動することが出来るけど、アニメわかってないと、そういう事をさらりと流してしまう。
逆に言えば、実写には実写なりに、この絵を撮りたいために費やした労力というのがあって、それに感動できる。こういうのってアニメの動画の苦労を推し量れる能力があれば同時に理解出来るわけで、アニメのいい鑑賞者は実写でもいい鑑賞者になれるし、アニメをボーっとして眺めて労力がわからない鑑賞者は、実写の鑑賞力も大したことがない。
表面上のセリフとか物語とか浅い部分で感心したりしているだけだったりする。まあその方が、いいお客さんなんだけど(CMで「すっごい感動しました」とか言っている人とかね)
そして、これはまあ一度言ってるけど、ジャンルに対して、上だ下だという価値観を持ってくる段階で疑わしい。ジャンルで上も下もないし、同じジャンルでも、上とか下とか、優れているとか優れていないとか、あまり序列とかを考えるのって面白くない。それぞれにいい部分もあれば物足りないところもあるし、またそういう事柄って絶対的じゃなくて人によって、好きな部分と好きになれない部分には差があって、ある人には傑作でもある人らは駄作に見える、そういう物で、絶対価値と考えて順位とかをつけたがるものじゃない。
あとアニメ独自の楽しみ方に、今日の作画は良かったなんていうのがある。テレビドラマで、今週の役者は良かったなんて無い。役者は安定して、大根は大根だし、上手い人は上手い。そう言う点で変化がないけれどアニメの作画は、週ごとに変化があるのは面白い。ただ、役者には演じていく内に上手くなるとか成長を鑑賞出来るという面白味はあるけれど。
それ以外は、アニメーションは役者が多彩というのはある、同じ役者は二度と出てこない(ただ中の声優は同じすぎて、辟易もするし、同じ声優が新境地を獲得する旬か人で会えるという面白味があったりする)
とか、アニメなんて言う、子供の見る物を楽しんで鑑賞しちゃったりしている人はときどきそんなことを思うのでした。
子供向けのアニメにも、感心するポイントって言う物はあるし、そう言うのをしろうとせずに見るに値しないと見下す人もいるという話。
そういう観点で見ていると、アニメーションにはそんなにいい加減に作っていなくて真摯に作っている姿勢が伺えるように思うし、日本映画やテレビドラマは、作ると言うだけでイッパイイッパイでとにかく物語らしい物を作りました、という感じの作品の比率が多い気がする。そういう意味でアニメを見ることに価値を感じているのかもと思うのでした。