舞-HiME

前回の感想に関してたくさんコメントをいただけで存外に嬉しかったり、楽しいやり取りになりました。
http://d.hatena.ne.jp/maspro/20050311
こうした、ああだこうだ、サカナに出来るのは、娯楽としての物語としては人を楽しませる物として非常に優れたものだと思います。


とりあえずは、あの時のテーマとして、物語に女子を据えた場合、物語の目標点(目的)というものになにを据えるか、登場人物が女子として、女子の目標点とは?みたいな部分なんですが、なかなかに難しいもがあるかなと。


というか現在は、そこに男子を据えよううと女子を据えようと、現代人はなかなか判りやすい目標点が成立しにくいという感じですが。


旧来なら、勝利とか、正義の成立なんですが、正義、と言うよりは悪がなんだかわかんなくなってきてる、ていうか地球征服みたいな判りやすい悪もないだろうみたいな情況なんですが。


元々それらは男性原理的で、そこへ女子を据えたらなにが出てくるか。セーラームーン時代は、戦う男子の立ち位置に女子を組み込んだら、みんなを守るみたいな、母性愛的女性原理になってしまったと。


同スタッフによって描かれたウテナなんかは、女子に対して、世界を革命するために、みたいな女子の解放みたいな、これまたある部分古くさいような構図になったりしたわけで。


それ以外には、女子の目的という目標点は結局の所恋愛の成就、王子様を求める、または待つ、みたいなものだったり、勝利を望む物としては、エースをねらえ!アタックNo1とか、スポーツにまつわった勝利ぐらいで(これさえ言ってみれば、勝利を望む男性であるコーチの意向を叶えるみたいなワンクッションおいたものだったり)

それらを経ての舞-HiMEなんですが、当初は男性原理的なチャイルドという力を得たらどうなる的な物から、戦い合うという方向性、またその戦うという方向性が、恋愛の成就的な目的を内包しつつだったりしながらも、結局は登場人物がなにを望むか、という事に回帰したりして、


じゃあ女子の望みってなによ?という形になったり。


そういう意味で、だからこそ、珠洲城遙さんは魅力的に映ったのだろうと思う。


光ったときに自分が消滅するって事を理解するっていうのはほんとは出来すぎなんですけどね。ホントなら自分に何が起こるか判らないままで消えていくわけで、だからこそ今までの人物はただ消えていったわけで、そのへんもう観客は何が起こるか判っているという情況になったので、珠洲城さんが理解してしまうという事にたいして違和感を感じない段階になったのだろうなと、その辺の見極めはスタッフ上手いなあと。


で、珠洲城さんの望みというのは、初めから学校を正しくするという事にあって、それは良い子ぶるでもなく、正義感でもなく、母性でもなく、ただ自分の希望としてきちんとするといいう事を望んでいて、そしてその望みに忠実に従っていた。


その協力者として認めていたぶぶ漬け女が堕落していたことで、ほんとに腹を立てて、頭突きを食らわせ、学校を正しくする象徴の腕章を取って雪之に託す。
これほど自分の望みをきちんと持ち、忠実にしたがった、そんな人物が眩しく見えずにどうしようか、と。


雪之さんは、腕章を受取ったのだから精神崩壊などせずに意志を引き継いでしっかりしてほしいものだなと思ったりします。


それに引き替えると、まあヒメの持ち主なはずの、メインキャラたちの目的のなさみたいな、ある部分意図的なんだと思うけど。


舞衣の病弱弟依存型とか、命の兄上状態とか、なつきの母親の復讐だけが生き甲斐とか、シスターの男狂いとか、まあいろいろと。


結構個人的には奈緒さんの想い人とってなんなんだろうとか。攻撃的なのも「弱き者汝は女」的な部分に裏返しに可愛さを感じたり、なかなかに興味深いオナゴだと思ったりしてるデスヨ。
思い人はなつき?なんて想像もあるみたいですし。
確かになつきに対するこだわりは激しいけれど、どうなんでしょうか?単に自分の顔に傷つけた相手と憎んでるだけにも見えるけど、面白いものがあったり。ていうかそれじゃまたここでもれずか!って感じなんですが。


なつきのデュラン不在に対しても面白くなっているというか。
すでに死んではいるけど母親に対する思い、無念を晴らす復讐心みたいなことが、母親は売ろうとしてたって事で消失して、既にHiME能力は失われてるんじゃ?みたいな話もあったり。
じゃその辺、それを知ったとき柱が立ったみたいな表現があれば分かり易いんだけど。


とまた一方、アリッサの柱なんじゃないか?みたいな話もあって、どっち?って事なんですが。


今のところなつき優勢みたいデス。アリッサは人工HiMEですし、と。


自分でもそうかなと思うけど、人工とはいえ、具体的に消えてる描写をされてたし、人は消えてる(人柱は出来た)みたいな感じもするし。
この時柱表現があれば、と言ったように、この辺のスタッフの表現トリックもなかなかのものだなと思ったり。


もしかしてなつきの母親に対する幻滅から解放されたら(新たな思い人の登場とか、母親の不惑が晴れるとか)デュラン復活なんて事もあり得そうだし。


とかとか、面白いですね。


後になって今ごろが一番面白かったなんて、面白さの頂点なんじゃ?なんて思ったり。
えばでいえばちょうど渚くん登場の頃みたいな。


変な話、意外にみんな落とし前を付けて綺麗に終わった方がへーとか、納得するだけで印象薄くなったりして、面白さとしては破綻した方が印象深かったりするって場合も。


個人的な記憶としてはナデシコなんか、ちゃんと落した物語だったなかと。これはこれでいい幕引きだったみたいで、やっぱりちゃんと風呂敷はきれいに畳まれるべきかなと。


舞-HiMEがどんな幕引きになるか刮目したいデスね。


予想みたいなのも色々出ているようですが、そう言うのはあまり、というか、人の想像を読んじゃうと自分の物語に対する想像が停止しちゃうので吸収しない方がいいかなと思ったので自分も出さない方がいいかなと。


でも、楯は消えて欲しい気もします。消えた方が面白そう。
その一方で、舞衣と楯には、なんとか新しい時代の黒曜の君と水晶の姫になって欲しい気もします。


詩帆には自分の嫉妬心を認識して克服して欲しいし、なつきは新たな望みを見つけて欲しいし、奈緒も幸せになって欲しいし、シスターと会長は破滅して欲しいし(来週のシスター幻想は誰かに破られる伏線だろうね)、命は元通り食欲怪獣になって欲しいし、雪之には意志を継いで学園を守って欲しいし。


こうなってくると、消滅者を死と受け入れても仕方ないかもと感じたりして、復活みたいなお伽話に持ち込まなくても納得できそう。