れす

前日のコメント覧の話。
ズーイさんどうもありがとね。
その辺はそんなそれ以上進展がなさそうなので対話を続けるのはやめておきますね。


こういうのって総称すると、作家とか作り手のモラリズムの問題として、自分の中では木になっていること、という事なんだろうと思います。遠いところでは、アニメの鋼の時の犬と娘の合成の時とかの作り手のモラリズムみたいな時とか。


もちろんここでいうモラリズムというのは作り手はモラリストであれとか作る物語はモラりストに添った物であれ、というわけじゃありません。


悪人(インモラルな人物)を描いたり登場させたりすることは当然ですし、要するに作り手はモラルを知れという所。モラルを知らなければインモラルな人間も描けないし。


だだその上で、作り手は物語の対してはモラリストであれとは思う。物語を盛り上げるためだけにただ無自覚に無邪気に登場人物を殺してみるみたいな描写は物語に対して不誠実だと思うし。


そういう意味で、軽々しくハートフルに擦るために悲劇をねじ込んでみるみたいな行為は、作り手としてモラルがないかなあと。


そう言うわけで、ゲームの社長を見直してみると、彼が低俗な人間だという事を表現する手段として他者の苦痛など思慮の範疇にないというのは表現として正しいと思う。


だけどその後、というか、なぜそういう表現をしたのかという話としての後の対応みたいなところ。


意図としては、悪を知らない人物に自分の悪を理解させる、という意図で描くという手段はある。
また相手が反省せずとも、悪は悪として感心せずとも他者が制裁を与えることで観客のカタルシスを与えるとか、悪いことをしたら捌かれるという事を学ばせるという方法もあるし。


もちろん制裁を受けないという展開もあって、現実問題として悪い人間は悪人としてのさばり続けるのが現実とか。
ただそういう展開だとしても、それはそれで送り手は、悪事が捌かれないということを自覚的に描いているわけだし、今度のこともこのタイプに分類されるのかも知れないけれど(千和が社長をドロップキックしてそれだけで報いを受けたというのは物語の因果と修法としては弱すぎ、あの悪辣さにはもっと多大な制裁を受けないといけないと思う)


それでも、意義が感じられないというか、なぜそのこまで嫌な人間であると表現しなければならないのかとか、


まあそれ以前に元をたどっていけば、強盗に襲われたという現実で、少女が恐くて外にも出られないほどショックを受けた、というエピソードを付け加えなければならなかったのか?という疑問になってくるんだけど。


でそのへん、見た後で色々と思って考えて書こうかと思ったけど、面倒になって書かなかったことなんだけど、せっかくだから書いてみよう、と。


というのもエイバリー少尉の行動が正当だったのか?みたいな疑問が他所の感想にあったからなんだけど。
つのも二回目にエイバリー少尉が強盗と遭遇したときに、強盗の元に飛び込んでいくのはヒロイズムで見ていて気持ちが良いけれど、主人公を残して敵の元に行くのは正当なのか、かなったからいいようなものの、かなわなかったら大変なことになっていただろう、それよりも主人を逃がすことの方が正しい選択なのでは?みたいな疑問。


そうなんだけどねえと色々考えて実はアレはすごく正しかったと。展開としては正しいのだけれど、演出として説明が伴っていなかったので、間違った認識、主人を逃がすべき、みたいな意見が出たのだろうなあという話。


順序通りに書いていくと、
まず第一回目の強盗は、エイバリー少尉が戦わなくて、エイバリー少尉の意気地なし、と思わせる展開は良い流れだと。
見ている方としては、盲導犬だから人に抵抗できないように仕込まれているから仕方ないよなあ、と思っていたんだけど、現実はそれ以上でガーくんのおかげで、少尉の判断は人質が取られている以上、この場は抵抗より、見過ごして人質解放という戦術を採った方が正しい、と。


話としてはそれ以降、美森はエイバリー少尉に幻滅して嫌いになり、ガーくんによってそれが誤解だったと判る。
でそこで「そうだったのエイバリー、判ってあげられなくてゴメンネ」とか言って泣いてわかりあえば、自分みたいな単純な観客は、良かったねえとかもらい泣きして、ああハートフルコメディーだ!とかいい気持ちになったんだろうけど(つくづく、どうしてそういう簡単な解決にしなかったのか疑問なんだけど)


美森はショックを受けすぎていてその事を大仰に喜べなかったりしつつ、回復して外に出られるようになるけど、夜の町でのた強盗と遭遇。


て外が恐いというのに夜に出かけるっていうのも無理がある、つか確か、泥棒事件とかで外が騒がしかったから外出したんだっけ、それならそれでもっと恐そうだから外に出ないとは思うんだけど。


ととにかく強盗と遭遇。
ここでの少尉としての最良の選択は、本当ならば、美森をその場から撤退させるというのが最良の戦術だろうと。
所がそうしなかった、というのも美森が足がすくんでいたからなんだろう。
「足が」と言わせていたのはそういう意図があってのこと、なんだけど、表現が弱くて伝わり憎かったなあと。
あの辺、少尉が引き綱を引っ張って撤退を試みるが失敗まで描写をしないと判らないだろうなあと。


第二の選択は、本当ならば吠えるところ、なんだろう。
そのへん、エイバリー少尉は試みるが唸るままで吠えることが出来なかった、と。そのへんも表現が弱かったんだけど、後の伏線バラシのためにはそんなに大げさなアクションも取るのは上手くないだろうと。


このままの状態で最悪の情況は、美森と強盗を出会ってしまうということ、それは避けなければいけない。
グズグズしていれば、そのうち現場から立ち去る強盗と遭遇してしまう、そこで第三の選択として、美森をおいてウエバリーは強盗の元に飛び込み格闘する、という選択を取った、という事なのだろう。


エイバリーが飛び込んだ後、物音がして、回りの家の窓が一斉に明るくなるという、違和感があるほど不自然なカットが入るのは、ウエバリーが一言吠えられたら情況は好転されていたのだ、という意図が込められていたからだと思われるし。


やり方としては、敵の元に飛び込まずとも、ウエバリーがなにかを倒して物音を立てるという手段もあったけれど、その場合強盗が自分が発見されるという脅威と受取られず出てきて美森と遭遇するという可能性もあったろうし。


リスクはあったけれどウエバリーの行動は中尉に昇進するほど正確な判断だったのだろうと。


とか筋は通っているのだけれど、アニメの方は演出が下手で伝わらなかったなあとおもったり。


それ以外の部分、坂としてのモラルという部分では、疑問があるなあ、とか色々気になったりするんだけど。