ゼーガペイン

最終回。


んー不完全燃焼……。
考えてみると最終回に当たって初めから観客として何を期待していたかというと、特にない状態だったからかな。
地球に帰還するとか、データー人間は実体化して現実世界を獲得できるかとか、具体的にナーガなりなんなり敵と称する物を滅して勝利を獲得するという形を手に入れる、とか、色々あったはずなんじゃないかと思うんだけど、あまり具体的になにかを望むという形で望んでなかったし、提供する方も、最終回、物語の終わりとして、これを見せたいという物も提示できないままに終わってしまったような。


具体的にどうなったかというと、まだアビスとシンが生きていてもう一度戦いがという。
って、観客としては「まだ居たんかい!」という感じでひっくり返りながら見てた感じ。
前回の印象だと、あれで終わりなのか、詰め込みすぎてうまく書けないままに終わりになっちゃったなあと思ったんだよね。
もうちょっと書いて欲しかった、例えば、アビス達はもうスペアがないということで、負けないために必死で戦う、それを指摘して、キョウが「それが生きるって事だ、死ぬ事への痛みと恐怖だ」みたいなことを言って倒して消える前に「これが死……」みたいなこと言って死なせれば、死の意味みたいな事が描けて良かったかな、みたいなことを思ったんだけど、まだ続きがあって、けじめを付けるのなら前回の描き方でも良かったかなと思い直して、じゃあどういう描写をするのかと期待して見た。


んだけど、やっぱりアビスの最後はあんまり上手く描けてなかった。シンの最後はカミナギと会わせて「お前はやっぱり変わっている」みたいなやり取りがあってあれは面白かったんだけど。


その後の展開もずいぶんドタバタしてた。地球で留守番している方は、北極の転送ポータルが壊れてオケアノスの帰還は絶望的と言う、そりゃタイヘンだどう帰還するんだろうと思ったら、なんか別ルートで帰ってきただけだし、情況の盛り上げ方として手際が良くなかった。


で、一人実体化したキョウ君なんだけど、自分実体化するリスクは、月に一人残る、って事かと思ってたんだけど、一緒に戻ってきたのでなんだそりゃという気分、セレブラントの幻体とは会話出来るみたいで、誰もいない地球上ひとりぼっちというわけでもないし、じゃあ別に実体化するリスク無いじゃんと思ったんだけど、一応、実体化装置が出来るまで、実体化したキョウだけが時間の影響を受けるわけで一人だけ年を取るというリスクらしいんだけど、それほど辛そうじゃないし、と。


実体化装置もバージョンアップしてシズノさんも実体化できるらしく、つかじゃあAIも実体化できたりして。
それはそれで良かったんだけど……。


そして最後の最後はどうやら実体化できたらしいカミナギが居て誰かの子供がお腹にいるらしいみたいな終わり方。


んんん、まあ話とてしはみているぶんには楽しかったんだけど、なんとなく満足感に乏しい物語だったかな。なんと言ってもナーガとかラスボスはデーターに拡散してしまっていたから爽快感に欠けたりするし、テーマとしてはデーターでも現実でも、思い入れがあれば本物は本物みたいな部分もあるんだけど、それはその物語世界での価値観であって、現実生活の中ではなんの教訓にもならなくて、結局この話を見終わっても、この話からはなにも学び取る物がなかったという(それは作り手の問題と言うよりも、設定の抱える問題なのでなんとも言えないんだけど)


で最終回で一番楽しかったのは、シズノも実体化するということでルーシェンに「これで三角関係になるね」とか言ってた所が、キョウとシズノとあと誰よ?カミナギ?あの会話だとルーシェンにも思えるよ、やっぱりそう言う関係だったのかよ!?
みたいなところが一番可笑しかったデス。


正直、欠点もあるんだけど総じては面白かった物語でした。
んでもねえ、やっぱり、夢か現実か?みたいな話は興味深いところもあるんだけど、やっぱりテーマとしては虚しいかなあと。


後この物語に関しては、話の中での情報の制限の仕方が面白かった。
具体的に言えばキョウ君の興味の持ち方みたいな所。
本来なら自分の想っていた世界が、見えている物とは別の真実があったという事を知れば、どうしてそんなことになったのかとか、経緯や歴史を知りたがると思うんだけど、キョウ君はそういう所にまったく興味を持たないと言う所、表現としてはおかしいんだけど、その辺、普通に興味を持って知ってしまったら、それはそれで話運びとしては面白くなくなるし、その辺の扱い方が難しいところだなあという。


あと、この話、初盤や中盤はどう考えても悲惨な結末になるしかない感じだったのに、最終回はずいぶんハッピーエンドになったよね、ていうか、考えると消失した人間って、シマのコピーと野原ヒロシの恋人ぐらいしか消えていないと言うのも意外。所詮データーなんだからバンバン消しちゃうんじゃ?という予感もあったけど、思いの外失わせない物語になってたなあと。