十兵衛ちゃん2〜シベリア柳生の逆襲〜

どっちかというと、流し打ちに近かった(失礼)マリみてと比較すると、今週の十兵衛ちゃんは渾身の剛速球だった。
十兵衛を拒否した自由、熱を出して、介抱を受ける、父親を心配させたくない自由、御影さんの心配する問いにも頑なに否定の態度を貫く。
心配するフリーシャの顔と、奪わなければならない決意のフリーシャの顔の二つが入り交じった複雑さも上手いバランスで書き分けている。
鮎之介も複雑な気持、自由が否定していることも理解している。
迷った挙げ句笛を吹いて鮎之介を呼び寄せて状況を知ろうとする自由。やはり鯉之助の子供で、父親の無念を継ごうとしている。泣く自由、その涙の意味はわからない、時間を超えて使命を全うしようとする二代にわたった鮎之介の一途さにか、残酷さにか、愚かさにか。
その手を取ろうという仕草を見せながらも、「あたしの前から消えて」と運命を拒否する態度を見せて背を向ける自由。残される鮎之介。
いいね、今さらリメイクで、なにをする気かと思ったけれど、気持の積み残しというか、ずいぶん昔の物語を今再び持ち出して、まったく古臭くならずに的確にリファインしつつ、価値を増している。自由の態度の変化も(本来なら性格的にキャラ違いに近い変更も)、人間的な成長や変化に見える。大人に近づけば利己的にならざるおえない、物語のように綺麗事の選択をして行くことは出来ないのだ。そんな感じで、とても実直だ。