蟲師

潮の関係で閉鎖された島、そこで蟲の病気を利用して島民に貢がせてる男と、幼なじみが利用されて幼なじみを助けたいと蟲師を連れてきた少年の話。


話として少年の動機がハッキリしていて、少年がギンコに説明するという形で蟲という特殊な存在が起こす出来事を説明する展開が自然で素直に楽しめた。


日本的な景色の描写は綺麗だし、携わる少女とか、助けたい少年の実直さとか、見かけの魅力も発揮されていて良かった。


蟲のモチーフは一日限りの命の昼顔の花という事で、一日で死と蘇生をくり返すみたいな。んでもそのことが普通の感覚としての面白味に繋がっていたかどうかは……いや、そういう状態のことは伝わらなくても、逆にそういう事を体験した後で普通に戻ったとき現実に自分の死ぬまでの時間の膨大さに恐怖を覚えるっていうのは理解出来る。


つかね、嫌な話だけど、ニートとか無職時代とか、そんな時には自分の生の死ぬまでの時間とか色々煮詰まって今死んだらいいのに、とか感じたこととかあったり、ちゃんと仕事すると仕事に追われて一日がアッという間に終わって謀殺されてる方が老いて死に行くまでの自分の一生の膨大さから逃げられるとか、色々と考えちゃったナ。


蟲を使っているといずれ報いがみたいな事は特に蟲の報いじゃなくて、島民を騙した報いだったのはなんだかナーとか思っちゃったりもしたけど、父親を売った少女の苦しみとかも判るエピソードにもなったし、つかほんとはギンコがそんな思わせぶりな事を言わない方が違和感無かった、つかつかそもそも島民を騙してるって事を問題視してないことの方が……。


結局少女は時間の恐怖に負けて蟲を取り入れてしまう(そのへん、親を売った良心の呵責に負けて逃げたのかなとかわかりにくかったけど)
少年はなにが少女の幸せかわかんなくなってこのままで良いみたいな事になってた。
島民からも蟲を駆除するけど戻っていく人もいるみたいで。


そのへん、あまりテーマとして大上段に語らないところ、人それぞれの受け止め方があると思う。
自分はちと判断に迷った、物足りない気もするけど、こうして考えるのは、あえて語っていないからとも思えるし。


追記
他所の感想を読んで今回の蟲って麻薬やアルコールとかと入れ替えられるのかも、と。人生の長さに自堕落になって麻薬に溺れるとか。