「牙」

毎回この作品は面白いことになっていくなあと感心して見てる。
ほぼ二、三回で舞台が変わったり中心人物が変わったり、展開が変わったりと、物語が一本調子にならないように、観客が見ていて飽きないように作られていて上手いと思う。


その辺、一番の要因はシリーズ構成の井上氏の力量なんだろうね。平成ライダーも基本的に全体の展開としてはどうなんだろう、と思うところもなかったけれど、局面がコロコロ変わったりして飽きさせない部分が多かったし。
特に実写だとロケーションや予算の問題もあって、世界観まで違う舞台を転々とさせる、というわけにもいかないけれど、アニメーションなら世界観の違う舞台を用意することも簡単で色々な世界観の場所を点々とさせていて見ていて面白い。


その辺違う世界や、新しい登場人物を投入するには、そのたびにアイデア出しや企画が必要で容易な事じゃないけれど、作り手の意欲が高いんだろうなあと感心しつつ見ていたり。


細かい流れが一つになって渾然と進むところはいかにも大河ドラマ的だなあと、アニメとしてはこういうタイプの作品は珍しいので興味深く見られる作品だと思う。


話の方は色々とゴタゴタしていたけれど、段々と、ゼットの居る国と、ヒューの居るジーモット、フラフラしていたメガネ君のノアはネオトピアに属して、と三勢力に落ち着いてきた。


特にネオトピアの国のあり方とそこに属することになったノアの扱いが上手い。元々ゼットの居たカームという街は閉鎖的で息苦しくてそこから逃げ出してきたわけだし、ノアはその空気を受け入れていたのか判らないけれどそういう閉鎖的な社会と折り合いを付けて生徒会委員として振舞っていたわけだし、ネオトピアに属することになるのは自然な流れだったり。
とはいえ、初めから受け入れるわけじゃなく、初めに規則のために親も処刑する情況に遭遇させて、そういう規律に対して否定的な態度を取らせるんだけど、ノアをそこに属させるためにスピリットによる洗脳という形を使ったりして、矛盾する物語を巧みに誘導していて、作り方として面白いなあと。


今回は、ノアとの再会と言うことだけれど、神視点で見ている観客にはノアの変節は判っているからゼットがキースを渡してしまうのが間違いだと気がつくけれど、ゼットにとっては信頼できる友達と思っていて信用して預けてしまうのは自然な流れだろう。


長い間の断絶で再会も一塩だと思うけど、募る話もしないと言うところはなんともドライというか(その辺携帯世代だとああいうのもありかと思う、携帯番号のやり取りさえしていればもう安心みたいな。携帯世代じゃないとそうそうは別れ難いというか)


今度はロイアが角生えちゃって大変なことに!という展開みたい。次から次へと騒動が続いて面白いねえ。