当たり前の表現のこと

maruz 『やっぱり壬生猫さんとは感性が似てるなと苦笑しました(笑)
私も一周したのか、当たり前なことをちゃんとやってる作品がやっぱり面白いなぁと最近感じています。某まっすぐごー!な作品に感覚的に嫌悪感を覚えちゃうのはそれが原因かなぁ、とかw』(

コメントどうもです。ってなんで苦笑やねん!

まっすぐごーはどうかというのは置いておいて……。いやあアレはアレで若者のトンガリというかまあ……。


で、昨日は意識していなかったんだけど、それぞれの作品に、当たり前で良かった、と言っていれば、当たり前でツマラン、とも言ってたりして矛盾している事になっていたなあと思ったわけです。


まあよく考えれば、当たり前という表現の中には、当たり前なんだけど面白いという手法と、当たり前なんだけど、ありがちで、面白くもなんともない、という手法があるというだけのことなんですね。


それにしたって、面白くない手段なら淘汰されて、消えていくはずなんですが、そこの所、生き残っていくと言うことは、自分には面白くないと思うんだけど、ある人には面白いと思われている手法なのかも知れませんけれど。


で昨日のを多少解釈すると、


パワパフはもう説明の必要もないくらい、要するに金持ちの道楽に振り回されてバカを見る話で、当たり前の表現というより、ありがちで常識的な展開で、最後の展開まで読んだ通りに終わっていて見る必要もないような内容だったねえ、と解釈する必要もないんですが。


問題で重要なのが、契約者の方。
能力のある人間がいて、それが組織に入っているか、入っていなくとも世界のどこかには組織があって、それと反目する組織が戦い合うとか衝突し合っているという構図。
という情況の展開を見せていくわけだよね。
その展開自体がよくある展開だし、その展開を見せていく手法もあまり新しい物じゃなかった。
で、それなんだけど自分自身、そういうよくある展開を見ていても、ちっとも面白くなんいんだけど。


これボンズ的には本気で面白いと思っているのかな?
今の構図に当て嵌めてみると、ウルフズレインも同じ構造だったと言っていい、狼と科学の組織が反目していてたまたま見つけた組織の姫を狼が取り返す、みたいな。
自分その話の構造自体ちっとも面白くなかったんだけど、まあ人なのか狼に見えてるのか、その辺の表現に新味を感じてみていたんだけど、
もしかするとボンズのブレインは契約者にしてもあの手垢の付いた上に面白いと思えない展開を、面白い、ワクワクドキドキするぜ!と思いながら企画書にゴーサイン出してるのかなあと?


エミリーやブルードラゴンの面白さについては、たぶん、嫌な人間、敵となる人間の描き方が上手いんじゃないかと思う。というか、作り手にとって、不快な人間をちゃんと描くという行為は、なかなか面倒臭かったりエネルギーがいる作業で、当たり前という事は、その不快な人間をきっちり作って描くという行為にあるのだろうと。

というかさ、本当は現実の世界にはそんな絵に描いたような悪人っていうのは存在しないんだよね。現実の悪人っていうのは、よく見れば悪い行為や思考には、ちゃんと理由があってそれを踏まえれば、そんな絵に描いたような悪人なんて描写できなくて、と判りやすい面白さを発揮しにくいんだろうという。


その辺一周しちゃって、現実には有り得ない、絵に描いたみたいな悪人が出てくるほうが、ほっとしたり、
若い書き手には、判りやすい悪人を描くのは、気恥ずかしかったり、ある意味、他者に不快に思える人間を描くことの作業に対する忍耐がなかったりするんじゃないのかなあと思うんだよね。
なんだかんだ言って、意地悪オバサンの行為や言動を考えて話を作るのって面倒臭いんだって。